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But you're so far away
by dec5hiro

天童荒太先生の「悼む人」を読んで
読むのにかなりの時間を要しました。
読もうと思ったきっかけは表紙の絵。
以前から私は音楽でもジャケットの印象に惹かれて買い求める性質。
それが本だったり、海外のお菓子だったりするだけで。
だからこの本もその表紙の絵がまっすぐこっちに見つめてくる瞳が
なんとも言えず精悍で、それでいて柔和で、
さらにタイトルの「悼む人」という文字。
なんとなく、読む前から涙なしには読めないだろうと思って買ってしまいました。

人が誰を愛し、誰に愛され、何に感謝されていたのか。
それを心に残す旅を続ける一人の青年。
「悼む人」は天童先生の言う「この世に今一番いて欲しい人」である。
人は生まれた瞬間から死に向かっている。
それを絶対に避けて通ることは出来ないし、また自ら縮める事も良いことではない。
誰にとっても平等に与えられているたった一つの権利。
だから、必ず私もいつかは死ぬし、みんないつかは死が訪れる。
それが当たり前になっている。全ての人は死ぬのだと。
ただ、世の中で起こっている理不尽なまでに奪われた命については
視覚・聴覚には刺激を与えるにすぎない。
誰かを必要とし、誰かから必要とされ、それを認められていたのかについては
本当に近い人間にしか知ることの出来ない大切な財産。
その財産に気付いた彼は、一人でも多くの財産を心に遺そうとする。
その想いが家族や他人の心に染み入っていくという話。

覚えていて欲しいと、誰しも願う。
私がどういう人間だったのか。
その「どういう」という部分を「誰を愛し、誰に愛され、何に感謝されていたか」という
言葉で言い換えられたことで、私は
「自分が何を大事にしたいのか」、「どんな人たちといて幸せか」、
「どんな記憶として人の心に残りたいのか」を考えるキッカケをもらえたのだと思う。
覚えていて欲しいと願うのであれば、自身も覚えておかねばならないだろう。
私にとって彼らがどういう人間だったのか。

今、読んでいてほしい本の一つだと思う。
どんな年代の、どんな環境にある、どんな人にも。
そして、時が経ってまた読み返す価値のある、稀な本だと思う。
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by dec5hiro | 2009-09-05 22:55 | Soliloquy
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